]Z 介護の相談Q&A

Q:グループホームについて知りたい

(兵庫県 Oさん)
私は実母を介護しています。痴呆の人に関するお仕事をされている方から「あなたがダウンしないうちにご本人のためにもグループホームに人所されることをお勧めします」と言われましたが、思いきることができません。まだ「私が看るなければ」という良心の呵責にさいなまれます。今はまだ私の名前も分かっていますし、問題行動もありません。理解度が落ちて何をするにも手が掛かり、話しが通じず精神的に疲れています。ただ、今以上に進むとグループホームは引き受けていただけず、特養になるとのことで、迷っています。まず、ショートステイで家から離れることに慣れるようにと思いますが、ショートでは、放っておかれるのではないかと不安です。デイサービスのようなお世語をして下さるショートステイがあれば、または、グループホームのショート…は無理ですか。グループホームについてよく理解できていません。教えていただけますか?
(社)家族の会会報2002年1月号より
A:グループホームは、痴呆性高齢者が小人数(5〜9人)の家庭的な雰囲気の中で暮らす「家」です。専門スタッフが適切なケア(その人らしい生き方の援助)をしながら、ゆったりとした時間が流れる生活の場です。グループホームは「終のすみか」ではないのですが、様々な運営理念のグループホームがありますので、いろいろな所を訪ねられ、実際にお話をされることをおすすめします。又、ショートステイをしているグループホームは少ないようですが、多機能的な運営されているグループホームもあります。(グループホームはつね 主任 中村都子)
 

Q:障害手帳の不公平感

身体障害者手帳と精神障害者手帳との不公平感を感じております。痴呆疾患治療病棟等病院に入院した場合、(身体)障害者手帳を持っている方は重度心身障害者医療費助成を申請すれば、かかった入院費が戻ってくるのに、(精神)障害者手帳を持っている方は、助成が受けられないのです。(手と足が動く痴呆症の場合は、受けられません)これはどうしてなのでしょうか?いつも疑問に感じていたことの一つです。家族の会で
国に提言していってほしいことのつです。(福岡県 Wさん)
                        -(社)家族の会会報「老人をかかえて」2001年1月号246号より-

A:65歳未満の1〜2級の身体障害者、lQ35以下の知的障害者、3級の身体障害者で1050以下の知的障害の重複障害者に、重度心身障害者医療費支給制度が適用されます。65歳以上の方には重度障害老人健康管理費支給制度があります。痴呆の人に対しての諸制度はまだ充分でありませんね。みなさんと一緒に働きかけていきましょう。((社)家族の会理事 荒綱清和)
 

Q:初老期痴呆の経済問題

夫58歳で平成10年11月にアルツハイマー症と診断されました。翌11年1月に退職。妻である私も退職し、現在に至っています。夫のように初老期アルツハイマー症の経済的な情報が少なく、毎日不安の日をおくっています。介護保険の手続きはまだしていません。(ヘルパーの必要がない人はいいでしょうといわれました。主治医)
特にお願いしたい2点。
障害年金はどういうものか。
医療費の助成、厚生年金受給者は該当なしなのか。(栃木県 S さん)
                       -(社)家族の会会報「老人をかかえて」2001年1月号246号より-

A:年金受給年齢前で、初診日から1年6ヵ月経過(アルツハイマー病と診断が必要)していれば障害年金の受給ができます。詳細は社会保険事務所へ。精神または身体に2つ以上重度な障害が重複して、常時介護困難な状態にある場合は特別障害者手当が月額26,860円支給されます。くわしくは福祉事務所・町村役場へ。精神保健福祉法32条により通院医療費公費負担制度があります。くわしくは保健所へ。要介護認定を受けておかれることをお勧めします。((社)家族の会理事荒綱清和)
 

Q:トイレの使い方が分からない。

最近トイレが一人でできないことが度々あり困っています。トイレに人が入ったり、扉を空けっぱなしにするのをとても嫌がり、一人で用を足すのですが、最近はトイレに入ったものの、どうすればよいか分からないようで、何もせず戻ってくることがあります。尿失禁があり、尿失禁用パンツをはかせていますが、下着を取られるのがとても嫌いで、1日1回収り替えるのがようやくです。スムーズにトイレで用をすませる方法がありました
ら教えてください。(埼玉県 Nさん)
                           -(社)家族の会会報「老人をかかえて」2001年1月号246号より-

A:介護への抵抗はこちらの気持ちが通じないように感じ苦労します。こ本人も、どうしてよ
いかわからなし、自分に苦しんでいると思います。考えを変えてみて、少しぬれていても皮膚が
かぷれたり、他に大きな害のない程度の失禁であれば、1日1回の取りかえでもよいか、2回うまくいけけばラッキーと割り切ってみられたらいかがでしょうか。また、介護サービスを利用されておられるのでしたら、そこの職員に施設での対応を聞き、参考にされてはと考えます。 (特別養護老人ホーム職員鎌田松代)
 

Q:姉弟で協力したいのに

長男夫婦と同居している85歳の母の要介護認定がどうなっているのか、まだ分かりません。4人姉弟ですが、母の介護について皆で会って話したい、母にとって一番良い方法を考え、皆で協力し合ったらと思う私の思いはなかなか通じません。親の財産は全部白分のもの、親の年金は全部自分たちが使って当然だと言いきり、親の財産を全部握り、使ってしまっている兄にとって、母は兄の所に店ないと困るわけです。母の食事は一日一食、骨を折った時も一度病院に連れて行っただけ、心の病で薬を飲ませなければいけないのに、病院にも連れて行きません。兄夫婦のゴルフ三昧、海外旅行等、節約しなくてはいけないのに、お金を浪費している現実を見ていても何もできない私の無力さを考えてしまいます。姉も弟も、「死んでも治らない夫婦」とあきらめているようです。私は家族の会や祉協のボランティア活動をしながら、母の今後を見守っていこうと思っています。私のやっていることが、主人や子供たちによい影響を与えているのが救いです。(埼玉県 Iさん)
          (家族の会会報「老人をかかえて」2000年12月発行245号より)

A:当たり前のことなのですが、お母さんの財産はお母さんのもの。たとえ同居の親族でもそれを勝手に使ってよし、というものではありません。一つの方法は、「後見申立」を家庭裁判所に行い、判断能力の衰えたお母さんに代わって、権限を持ってお母さんのために物事を判断してくれる「成年後見人」を選任してもらうことですそして、財産が勝手に使われることがないように、また逆に、介護や病気の治療などに有効に使われるようにきちんと管理してもらえばよいでしょう。「後見人」には、親族や専門職など、ご本人にとってもっとも適切な方が選任されることになります。(京都・司法書士中野篤子)
 

Q:若年性痴呆の夫に何の保障もないのですか?

 私は、55才の時脳内出血から痴呆になった主人と今6年余りの介護生活を送っております。
一時は私の方が混乱して、主人を道連れに死のうかと何度も何度も考えましたが、何とか「今」を迎えることができました。でも安定剤と抗うつ剤、睡眠剤のお世話になる6年余りの日々が毎日続いております。
 最近思うことは、身体障害、知的障害の方々はそれなりの保障(例えば、タクシー券、税の減免、駐車券)、特別障害者手当金などがあるのに、痴呆に関しては何のメリットもないということが、大変不思議に思います。何があれば教えてくださいませ。(大阪府 Nさん 57才)
          (家族の会会報「老人をかかえて」2000年1月発行234号より)

A:少ないが保障はあります。
 ご苦労の多い毎日と存じます。保障のことですが、確かに若年性痴呆の人には少ないのが現状です。しかし税の減免については、「精神障害者保健福祉手帳」というのがあり、これがご主人に適応されるはずです。これをもっていると納税控除などの特典を受けることができます。保健所に相談してください。また特別障害者手当は、国の制度で障害に関係し年齢は関係しません。これでご主人に手当(月額26000円程度)を受けることができるはずです。これは市町村の福祉担当課に相談してみましょう。          
 (家族の会副代表理事 三宅貴夫)
 

Q:アルツハイマー病は隔世遺伝?

 私の母もアルツハイマー病のぼけということが分かり、その進行の早さにびっくりいたします。気丈だった母も最近は童女のようになり、ショートステイを利用しておりますが、ホームでも入浴が嫌いのようで、日曜毎に温泉もどきの風呂屋さんへ行っています。帰りに二人でビールを一口づつ飲み、お寿司を摘んで帰るのが楽しみになりました。毎週行っているのに「生まれて初めて食べた」には参ります。ところで最近聞いたことですが、アルツハイマー病は隔世遺伝といくことですが、本当ですか?                 (北海道 Sさん)

 現在59才の母を介護している29才の娘です。介護はもう8年になりますので、さし迫って困っていることはないのですが、一番心配なのは、自分の将来です。もしかしたら、いやきっとそうなるのだろう。こままでは。このまま良い治療薬が開発されなければ...などと考えていると、自分は子供すら生むべきでない...もし、将来、ぼけ始じめたら自殺した方が楽になれるのではと不安でたまりません。 
社)家族の会発行「老人をかかえて」1999年6月(227号)より

A:ひとこと
 アルツハイマー病はアルツハイマー型老年痴呆も遺伝しないと考えてよいと思います。遺伝によると思われる家系はありますが、非常に稀で、お二人の方が心配するほどのことはないでしょう。厚生省によれば、85才以上の高齢者の4人に1人がぼけ症状を示していますから、長寿の家系であれば長生きしてぼけになる可能性はありうるでしょうが。
                     (杉山孝博 川崎幸クリニック院長)
 

Q:大声を出し続けます

 痴呆の姑を看て10年になります。30代後半より補聴器を使用する程耳が遠く、耳元でゆっくり声を出して言葉にすれば解りますが、気分次第の時も多く伝達ができかねます。一日中(寝ている時以外)よく通る大声を出し続けます。声がかれないのが不思議です。よい解決策はありませんか。(香川県 Kさん)
(社)家族の会発行「老人をかかえて」1999年2月号より

A:ひとこと
 大きな声を出し続けておられるのを止めるようとしても、なかなかよい解決策はないものですね。そういう声をずっと聞き続けているのも辛抱のいることだと思います。
 お姑さんがどのような身体的な状態で、日中はどのように過ごしておられるのかがわかりませんが、原谷こぶしの里では、できる限りそばに寄り添って、身体に触れたり、手をさすったりして、精神的な安定をはかることや、なにか興味をもてることを探し、それに集中してもらったことを行っています。
 その人にもよりますし難しいですが日中に適度な刺激を受け覚醒度をあげることで、夜だけでも静に寝ていただきたいものです。
             助言:三谷紀子(京都・特別養護老人ホーム「原谷こぶしの里」)

Q:薬の使用について

 父が脳血管性の痴呆となり、もうすぐ1年が経とうとしています。この間、家庭→ショートステイ→老人保健施設入所→精神科入院→老人保健施設入所→家庭…やはり難しく、現在、精神科入院中。
 脳器質性障害による痴呆のため、不穏や興奮等の症状を「接し方」だけで改善していくのは難しいと言われ、「介護をいかにしやすくするか」という状態にするために向精神薬や安定剤を使用しています。
 老人保健施設入所時は施設の方針でできるだけ薬を使わずにと、精神科の薬を全て中止したのですが、その後、さらに興奮等の症状が悪化し、やはりそれを抑制するには薬が必要といくことになりました。薬と使わずにいると、その症状のためにケアが難しく、老人保健施設からは「強制退所」と言われたり、ショートステイでは「夜間騒いだら連れて行ってください」と言われたりします。
 それを考えると、介護するために(家庭では一層介護が難しくなる状態で、家に帰されるというのは何と言っても酷であり、矛盾していることです)、ある程度薬による「拘束」も必要な場合もあると感じています。
 不必要な薬の使用が多いなかで、薬の乱用の害が指摘されるのだと思いました。そうした状況で、本当に必要なケースが悩んでしまう現実もあるのではないかと感じていますが、どうなのでしょうか。是非、専門家の意見を教えていただけらたらと思います。                                              (新潟県 Eさん)
 (社)家族の会発行「老人をかかえて」222号(1999年1月号)より

A:ひとこと
 いろいろな病院や施設を利用しながらも、あまりよい経験をされていないことは残念なことです。これは病院や施設の人達のよい理解が得られなかったためと思われます。
 お尋ねの薬のことですが、精神薬は痴呆の人にとって両刃の剣と言えます。
 精神薬(正しくは向精神薬といい、これには向精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入薬などがあります)については痴呆の人の「問題行動」を抑えるために医師が何の疑問を持つことなく使っていることも多く、結果的に痴呆の人が食欲がなくなり、衰弱して死にいたることもあります。
 このためもあり精神薬は「悪だ」「使うべきでない」と決めつけ、薬なしで介護の工夫だけで頑張ろうとする人もいます。これでうまくいくこともあれば、対処しきれないこともあります。
 私は、医師としての経験から、あたりまえのことですが痴呆の人の「問題行動」の原因や背景を理解しようとしながら、精神薬は必要な時に注意して使うべきと考えています。例えば、夜間眠らないで動き回る痴呆の人の場合、何故そのような行動をとるのか理解しようとし、原因として本人がどこのいるのかわからなくて混乱しているのであればそれにふさわしい介護をしながら、場合によっては不安や不眠をやわらげるために少量の抗不安薬や睡眠薬をのんでもらった方がよい場合があります。但しこの場合でも介護する側の都合で「夜間おとなしくさせよう」と精神薬をのませることがありますが、これは薬による拘束を言わざるをえません。もっともこの場合でも夜間よく休まれてそのため翌日は落ち着いて穏やかに過ごす人もいます。
 まずは医師が痴呆について、薬の利益と不利益について、介護で「できること」と「できないこと」についてよく理解したうえで薬を使用することを望みたいものです。同時に介護する人も、薬への正しい理解をしながら、医療者と介護者とが共通の認識に立って協同して痴呆の人へ対応してほしいものです。
 薬に関して忘れてほしくないことは、痴呆の人、特に脳血管性痴呆の人の場合は身体の状態にも注意し、必要な薬−例えば糖尿病の薬など−は正しく使用しておくことです。
                 助言:三宅貴夫(京都府・弥栄町国民健康保険病院院長)